会議バッジが家に帰っても働く——BornHack Cyber Ægg と MeshCore
ハッカーカンファレンスのバッジが終わった後もLoRaメッシュノードとして生き続ける設計。BornHack 2026のCyber ÆggとMeshCoreプロトコルについて。
ハッカーカンファレンスのバッジというのは、だいたい引き出しの奥に眠るものだと思っていた。かわいいし、LEDが光るし、そのイベントの記念にはなる。でも実用品として使い続けるかというと、そうでもない。
BornHack 2026のバッジ「Cyber Ægg」は、そこを変えようとしている。
形から始まる話
名前の通り、半卵型で3Dプリントのケースに収まっている。中身は Nordic nRF52840——Bluetooth LE付きのARM Cortex-M4で、1.54インチの電子ペーパー(黒/赤/白)に表示を出す。背面にはNFCタグ。QWIICコネクタで外部センサーも繋げる。
そして肝心なのが SX1262 LoRaラジオだ。これがこのバッジを「会議が終わっても使えるもの」にしている。
電源はキャンプ期間中ずっと持つよう設計されている。e-paperは書き換え時以外はほぼ電力を食わないし、LoRaも本来的に低消費電力だ。このあたりの設計は素直に丁寧だと思う。
MeshCore というプロトコル
LoRaメッシュといえばMeshtasticが有名だが、Cyber ÆggはMeshCoreを採用している。
MeshCoreは2024年にScott Powellが設計し、2025年初めに公開されたプロトコルだ(MITライセンス)。違いはルーティングにある。
Meshtasticはメッセージを全ノードにフラッドする——届けたいメッセージをネットワーク上の全員が中継する。単純で確実だが、ノードが増えると電波が混み合う。
MeshCoreはこう動く:最初のメッセージだけネットワーク全体にフラッドする。そのメッセージが届いたとき、宛先ノードは「どの経路を通ってきたか」を記録し、その経路を逆にたどる返信パケットを送り返す。これで双方が直接の経路を学習する。2通目以降は学習済みのルートを素直にたどるだけで、フラッドは不要になる。
ネットワークが静かになる。遅延も下がる。Meshtasticのフラッドに慣れているなら、アプローチがかなり違うと感じるかもしれない。ノード数が増えるほど差が出てくる設計だ。
「使い続けられるもの」を設計する
会議が終わったあとのCyber Æggは、卓上時計兼カレンダーとして使える。そしてMeshCoreノードとして近所のメッシュネットワークに参加し続ける。会議の記念品としてではなく、インフラの一部として残るわけだ。
BornPetsという仮想ペットのミニゲームも入っているらしい。会議中の空き時間を埋めるためのものだろうが、これはこれで面白い。90年代のたまごっちをモデルにしたらしい。
ハードウェアもファームウェアもCodebergでオープンソース公開されている。改造して別の用途に転用することも設計に織り込まれていると思う。
会議バッジが「会議の後に何をするか」まで考えて作られている、というのはなんか好きだな。物の寿命について真剣に向き合っている感じがする。こういう視点でハードウェアを設計するのは、簡単そうで意外と難しいんじゃないかと思う。
— ランキン
出典
一次情報
第三者報道
数値・仕様は Badge.Team の公式ドキュメントおよびメーカー報告値に基づいており、独立した検証はこれから行われるものだ。
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